住宅の計画を進めていくとき、皆さん間取りの使い勝手や室内のインテリアなど、建物の図面にはじっくりと時間をかけますよね。
床のフローリング材はどれにしようかと悩んだり、毎日使うキッチンの仕様を吟味したり、照明器具のカタログを楽しく眺めたりと、夢がどんどん膨らむとても有意義な時間です。
ですが、そうして建物本体にたくさんのエネルギーを注いだ結果、お庭や駐車場といった家の外回り、いわゆる外構工事についてはどうしても後回しにされてしまうことがよくあります。
特に最近は建築資材の全体的な値段も上がっていますから、どこかでコストダウンをしなければと考えたときに、いちばん最後に残された外回りのお金が削られやすいという厳しい現実もあります。
ですが、ここで少しだけ立ち止まってほしいのです。 門や門柱というのは、家の顔になる一番重要な部分です。
ですから、建物の外観を考えるのと同じタイミングで、外の空間もぜひ一緒に考えてほしいと私は強く思っています。

これは個人の住宅だけでなく、店舗や事務所を建てるときであっても全く同じことが言えます。
公の道路から歩いてきて、ご自身の敷地に入り、玄関の扉を開けるまでには必ず何らかの空間がありますよね。
たとえば、お気に入りのおしゃれなカフェに入るときを思い出してみてください。 通りを歩いてお店を見つけ、きれいに彩られた看板や植物が飾られたアプローチを歩いて、ドアの取っ手に手を掛ける。 その数歩の距離を歩く間に、これからお店で過ごす時間に対するワクワクする気持ちが高まるはずです。
住宅の門柱もこれと同じ役割を果たしてくれます。 外の世界からプライベートな内側の空間へと、自然に気持ちを切り替えるための大切な場所になるのです。
ここをどう歩いてどう見せるのか、少し時間を取って考えてみるだけで建物全体の印象は本当に大きく変わってきます。
コストを抑えるために、建物の外壁をそのまま手前に伸ばして、そこに直接ポストやインターホンを取り付けるという方法も一つです。
ですが、私からのご提案としては、あえて建物の壁からは独立させて、全く別の象徴的なデザインの門柱を作ってみるのがおすすめです。
たとえば、建物本体がシンプルな白い外壁であっても、独立した門柱にだけは少し予算をかけて自然石を貼ってみるのもいいでしょう。 ごつごつとした質感を活かせば、重厚感のある落ち着いた佇まいになります。
あるいは、温かみのある木目調の仕上げにすれば、ご家族を優しく迎え入れるナチュラルな雰囲気を作り出してくれます。
昼間の見た目だけでなく、夜になれば門柱の下からスポットライトで照らすだけで、また違った幻想的で美しい雰囲気を楽しむこともできるのです。
違う素材を使って独立した空間を作ることで、そこが単なる通路ではなく、立派なお出迎えの空間へと生まれ変わります。
毎日ご家族が仕事や学校から帰ってきて一番にほっと安らぐ場所であり、大切なお客様を最初に迎える場所ですから、愛着の湧くポイントとしてここにお金をかけてこだわってみるのも良いのではないでしょうか。
少し話題を変えてみましょう。 実は、先日終了した大阪万博でも、この門柱や入り口の空間のあり方について面白い発見がありました。
広大な会場に点在する各国のパビリオンの入り口には、それぞれ国の名前が書かれた看板や門柱のデザインが施されていました。 ですが、その表現の考え方や見せ方は、国ごとに全く違っていてとても見ごたえのあるものばかりでした。
色鮮やかで堂々とした大地の広がりを表現しているような大きな門構えもあれば、木や植物を組み合わせて素朴な温もりが感じられるアプローチ、金属やガラスなどの最先端の素材を使ってスマートに見せている国など、本当に様々でした。
あのパビリオンの門柱はまさにその国の顔であり、自分たちの文化や考え方、どんな国であるかを入り口の空間に凝縮して表現していたのです。
もしインターネットの特集記事や万博関連の書籍をご自宅で見返す機会があれば、パビリオンの建物そのものだけでなく、入り口に立っている門柱のような部分にぜひ注目してみてください。
きっとこれから家づくりをするにあたって、門柱が持つ意味の大きさに気づかされるとともに、参考になる新しいデザインのアイデアがたくさん見つかるはずです。
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そうは言っても、実際に自分たちの家に取り入れるとき、具体的に何を選べばいいのかと悩んでしまうかもしれませんね。
職人さんに手作業の造作でイチからすべて作ってもらうとなると、どうしても費用が少し多くかかってしまいます。
そういう時はあまり難しく考えすぎず、郵便ポストと宅配ボックスがセットになっているメーカーの機能的な既製品を選んでしまっても十分良いと私は思っています。
共働きで日中はお家に誰もいなかったり、子どもとお昼寝をしていてチャイムの音に気づけなかったりすることもあるでしょう。 さらに今はインターネットでお買い物をする機会も増えていますから、再配達のストレスをなくしてくれる大きめの宅配ボックスの需要はとても高まっています。
今はデザイン性が高くて洗練された製品が大変充実しており、ポストも表札もインターホンも、そして宅配ボックスもすべて一体化された非常に頼もしい機能門柱がたくさん揃っています。
それを家の前にスッと一本立てるだけでも、玄関前の空間はしっかりと引き締まり、立派な家の顔として働いてくれます。
ただ、一つだけ気をつけていただきたいことがあります。
いくら予算を削らなければいけないからといって、とりあえずホームセンターで自立する単体のポストを買ってきて、玄関先のコンクリートの上にポンと置いておくような形にするのだけは避けるようにしてくださいね。
地面にぽつんと置くだけのポストは風などで倒れてしまう危険があるだけでなく、何よりも家全体が持つせっかくの素敵な雰囲気を台無しにしてしまいます。
門や門柱という玄関前の空間はそれくらい建物の価値や全体の雰囲気を決定づける、家づくりの総仕上げとも言える大切な場所です。
これからお家づくりを考える方は、少しこだわりを持って、自分だけの門柱をつくってみてはどうでしょうか。
今日はここまで。