ガジェット好きの建築設計事務所所員のつぶやき

ここでは日々の思ったことを深堀りします。

建物設計の収納プラン

最近、建物のプランニングをしていると必ず話題になるのが収納のお話です。

私は普段、たくさんの建物の設計に携わっています。 その中で、とりあえず大きな収納スペースが欲しいというご要望をいただくことはとても多いです。 でも、むやみに収納を大きくすると、当然ですがその分だけ工事の費用は上がり、生活する部屋のスペースは狭くなってしまいます。 今日は、そんな家の広さと収納のリアルなバランスについてお話ししようと思います。



収納というのは、設計の段階である程度意識してプランニングしないと、できあがった時にかなり少なくなってしまうことがあります。 では、どれくらいの割合があれば安心なのでしょうか。


少し専門的なお話になりますが、例えば集合住宅の設計をする場合、私たちは家全体の面積に対して収納の割合が大体6パーセント以上になるように計画しています。 戸建て住宅であればその数値は少し少ないかもしれませんが、もしご自宅の図面を見る機会があれば、収納が家全体のどれくらいの割合を占めているか、少し計算してみるのも良いかもしれません。 この数字が一つの目安になります。


戸建ての住宅を計画される場合、寝室などに大きな部屋の形をしたクローゼットを希望される方がとても多いです。 服や荷物をひとまとめにできるのでとても便利そうに見えます。 でも、入り口が一つしかない部屋型の大きなクローゼットには少し注意が必要です。


なぜかというと、人が歩いて入るためのスペースが必要になるうえに、一番奥の角の部分がデッドスペースになりやすく、せっかくの空間を有効に使えないことが多いからです。 家の面積が増えれば増えるほど建物の費用は上がりますので、使えない角にお金を払うのは少しもったいない気がします。


そこで最近よく見かけるようになった、とても合理的なプランニングの工夫があります。


狭い土地に家を建てる場合、ふつうは廊下をできるだけ少なくして部屋を広くするのが設計のコツです。 ですが、あえて廊下を作り、その廊下の壁に沿わせてとても長いクローゼットを作ってしまうという方法があります。 または、入り口と出口の二つを設けて、通り抜けながら服を選べるクローゼットにするのも素晴らしい工夫です。


人が歩くための通路と、物をしまうための場所を兼用してしまうことで、結果的にお金を無駄にせずに使いやすい家を作ることができます。 家の中をぐるぐると歩き回れるような間取りになるので、日々の生活もぐっと楽になります。


そしてもう一つ、収納についてよくご相談を受けるのが、お店のように物を飾る収納についてです。

お気に入りの雑貨や食器を並べる収納空間は、誰もが一度はあこがれると思います。 ですが、私はプランニングのプロとして、基本的に収納にはきちんと扉があったほうが良いと考えています。


なぜなら、まめに掃除をしない限り、出しっぱなしの物はすぐに埃をかぶってしまうからです。 飾って終わりの見せる収納は、あっという間にただの物置になってしまい、はじめに思い描いていたようなおしゃれな景色を保ち続けるのは至難の業なのです。


もしどうしても飾りたいものがある場合は、昔の家によくあった床の間のような、小さな専用スペースを一つだけ作るのがおすすめです。 季節が変わるごとに飾るものを変えたりして、定期的に人の手が入る場所にするのです。 そうすれば自然とお手入れもできるので、いつも清潔で美しい状態を保つことができます。


収納はただの物を入れる箱ではありません。 日々の中でどう効率よく動き、どうしたら無理なく綺麗に保てるのか。 そんなリアルな生活を想像しながら収納のバランスをとっていくことが、長く愛せる住まいづくりの一番の近道だと思います。


今日はここまで。