こんにちは。 今回は、家づくりを考える方が一度は憧れる「大きな吹き抜け」についてお話ししたいと思います。

私が普段、建物の設計をしたり、土地の利用をご提案するための完成イメージを作っていると、リビングには大きな吹き抜けが欲しい、というご希望をとてもたくさんいただきます。
モデルハウスやインターネットの綺麗な写真を見ると、太陽の光がたっぷり入る開放的な空間が広がっていて、本当にため息が出るほど素敵ですよね。私自身、そういった明るく広がりのある空間を作るのは大好きです。 その反面、毎日の生活で不便なところはないのかな、掃除が大変って聞くけれど本当かな、とご不安になる方も多いのではないでしょうか。
今日は、日々たくさんの図面や空間イメージを作っている設計の立場から、吹き抜けの少し不便なところと、それでもおすすめしたい理由を、包み隠さずお話ししてみたいと思います。
まずは、皆さんが一番気になるであろう不安の理由を見ていきましょう。
1つ目に、吹抜けは寒い、というイメージです。今でもよく相談されます。
実はそれは、一昔前の断熱性能などが全くない時代の住宅の吹き抜けの話です。今の住宅は省エネ適合性判定や長期優良住宅などの制度により、最低限度の外壁の断熱材や窓の断熱性能が確保されるようになっています。そのおかげで吹き抜けが合っても無くても、熱が外へ逃げにくい構造になっています。
また、空気には、あたたかいと上へ登り、冷たいと下へ降りる性質があります。そのため、ただ天井の空間を大きく開けただけだと、冬場にいくら暖房をつけても、せっかくのあたたかい空気が2階の天井の方へ逃げていってしまいます。これを防ぐために、天井に空気を混ぜるための扇風機のようなシーリングファンを設置することをおすすめします。
扇風機のように風を起こすのではなく、上部と下部に偏った熱や冷気の塊をかき混ぜ温度を均一にする役割で利用すると快適な吹抜けリビングを満喫できます。
2つ目に、音や匂いが家中を旅しやすいということです。 吹き抜けは、1階と2階をつなぐ大きな通り道です。そのため、1階のキッチンでカレーを作ったり、お肉を焼いたりした時の美味しそうな匂いが、2階の寝室までふわっと届いてしまうことがあります。また、リビングで見ているテレビの音や話し声も、2階のお部屋まで上がりやすくなります。ご家族の生活リズムが違う場合、たとえば夜遅くに帰ってきた方の生活音が、先に寝ているご家族に聞こえやすくなるということも起こり得ます。
こういった理由でNGであるならば吹抜けはお勧めしません。そういうものです。
3つ目は、お掃除やメンテナンスに少し手間がかかるということです。 吹き抜けの高い位置にある窓は、普通の短いモップや手元では届きません。高い場所のお掃除には、専用の長く伸びるお掃除道具を使っていただく必要があります。また、将来もし高い部分の照明を取り替えたり、壁紙を張り替えたりする時には、足場をわざわざ組み立てなければならないこともあり、普通の天井より少し労力とお金がかかる場合があります。設計の際に埃が溜まりにくい構造にするしかありません。手が届かない部分の構造の梁や窓、出っ張りを極力少なくすることを担当の設計士に相談しましょう。
ここまで進んでくるともうお分かりかと思いますが、 結論から言うと、私は「吹き抜け大賛成派」です。そして、設計としても吹き抜けのある空間づくりを力強くおすすめしています。
吹き抜けの最大のメリットは、なんといっても圧倒的な明るさと、空間を広く感じさせることです。 もし、家を建てる土地の周りに背の高い建物が密集していたり、敷地があまり大きくなかったりしても、吹き抜けがあれば高い位置から太陽の光をたっぷりと室内に取り込むことができます。自然の光がたくさん入る部屋は、それだけで毎日の気分を明るくしてくれますし、照明がいらない日中を長く過ごせます。また、床の広さは同じでも、上に視線が抜けるだけで、実際の面積よりもずっと広く感じるという目の錯覚を利用して、ゆとりある空間を作り出せるのです。
もう一つの大きな魅力は、家族のつながりを感じられるということです。 先ほどデメリットで匂いや音が聞こえてしまうとお話ししましたが、これは見方を変えればどこにいても家族の気配を感じられるという素晴らしい長所に変わります。
空調のこと、音のこと、お掃除のこと。不安な要素はたしかにあります。でも、そのデメリットは、私たち設計のちょっとしたアイディアや建物の作り方で、いくらでも小さくすることができます。
ひとつだけ吹き抜けを計画する際にやってはいけないことがあります。
それは、階段室を吹き抜けのある部屋とくっつけることです。これは吹き抜けのある部屋に階段を設けることとではありません。
階段室と吹抜けのある部屋をくっつけると、仕切りの無い空間が大きくなりすぎるため、対流が起こり風が生まれてしまいます。
シーリングファンをでかき混ぜるのではなく、風が通り抜けることになり、この場合はとても寒く感じますので気を付けてください。
今日はここまで。